白内障の原因と治療・手術

白内障とは?どのような病気?

次のような症状のある方は「白内障」かもしれません。
  • □かすんで見える
  • □視力が低下してきた
  • □まぶしく感じる
  • □暗いところで見えづらくなる
  • □二重、三重に物が見える(月など)
  • □遠くが見えにくい
  • □近視が進んだ気がする
  • □ライトがにじむ、まぶしい

ひとつでもチェックに当てはまる方は白内障の可能性があります。

白内障とは?
・・・目の中のレンズの役割をしている部分(水晶体)が濁り、光が網膜まで届かなくなることによって起こる視力低下の病気です。

人の目は、よくカメラに例えられますが、カメラのレンズにあたるのが水晶体です。
水晶体は直径9mm,厚さ4mmの楕円型の形をしていて、「みかん」のように皮と実からできています。皮にあたる部分が嚢とよばれる組織です。また、実の部分は透明な組織でタンパク質と水分から構成され、「皮質」と「核」にわかれています。
正常な水晶体は透明で、光をよく通します。しかし、様々な原因で水晶体の中身のタンパク質が変化して、濁っていきます。これを白内障とよびます。水晶体が濁ると、光がうまく通過できなくなったり、光が反射してしまい、網膜にきれいな像が結べなくなり、視力低下を引き起こします。

白内障とは?

白内障の原因とは?

白内障は様々な原因で起こります。最も多い原因は加齢によるものです。個人差もありますが、年をとるにつれ、水晶体は濁っていきます。白内障は一種の老化現象ですので、年齢が高い人ほど多く発症します。
他の原因として、糖尿病やアトピー性皮膚炎などの合併症として、若い人の発症が増えています。また、生まれつき白内障になっている場合や、外傷によるもの、薬の副作用で白内障になる場合があります。

白内障の原因とは?

白内障の症状とは?

白内障では目の中の水晶体が濁ることにより、視力が低下します。
水晶体の濁り方はひとりひとり違うため、症状はさまざまです。
主な症状としては、「目がかすむ」といったものですが、次のような症状があれば白内障の疑いがあります。

  • □かすんで見える
  • □視力が低下してきた
  • □まぶしく感じる
  • □暗いところで見えづらくなる
  • □二重、三重に物が見える(月など)
  • □遠くが見えにくい
  • □近視が進んだ気がする
  • □ライトがにじむ、まぶしい

白内障の治療について

日常生活に支障のない範囲であれば、点眼薬によって白内障の進行を遅らせます。しかし、これらの薬は水晶体の濁るスピードを遅くするもので、症状を改善したり、視力を回復させたりするものではありません。
白内障が進行して、日常生活に不自由を感じるようであれば、手術を行います。
視力にかかわらず、ご自身に見え方の不自由さがある場合は手術の適応となります。

つまり白内障の根本的な治療は白内障手術となります。

白内障手術を行わない場合は?

徐々に進行し、視力低下をしていくことが考えられます。進行した場合、「光が光っているかどうかがわかる程度」まで視力低下する可能性があります。そこまで進行してからも手術することは可能ですが、合併症の発症率も上昇するため、ちょうどよい時期に手術をすることを推奨いたします。

① 白内障手術について

白内障に対する根本的な治療は白内障手術となります。 現在の主流となっている術式は超音波乳化吸引術とよばれる術式です。 超音波を用いて混濁のある水晶体を砕き、吸い取ることによって濁りを取り除きます。 その後、空洞となった水晶体の皮の袋の中に人工の眼内レンズを挿入して固定します。 手術時間は状態にもよりますが、約10分程度となります。(個人の状態により時間に差はあります。) (白内障手術の主な流れは以下になります) 白内障手術には人工のレンズに取り替えることによって視力向上できる面に加えて、眼内レンズの度数を調節することにより、術前の近視や遠視・乱視を減らしたり、調整することもでき、屈折矯正ができるという利点もあります。

白内障手術について
② 白内障手術費用について

当院での白内障手術に関してはすべて健康保険の対象となります。
よって手術代はご自身の負担割合に応じて1割から3割となります。

Ⅰ単焦点レンズを選択の場合

単焦点眼内レンズ
3割負担
2割負担
1割負担
手術時
40000円程度
18000円程度
15000円程度
初診時
3000円程度
2000円程度
1000円程度
術前検査
2000~3000円程度
1500~2000円程度
700円から1000円

なお、初診時すべての検査をおこなう場合、初診時に術前検査を加えた分が目安となります。

Ⅱ多焦点眼内レンズを選択の場合

多焦点眼内レンズ使用白内障手術費用=手術費用(水晶体再建術)+多焦点眼内レンズ代

多焦点眼内レンズの場合、手術代は保険診療と同様の値段がかかります。
それに加えて眼内レンズ代金をお支払いいただく形となります。

当院で取り扱っている眼内レンズに関しては別ページでご案内いたしますが、
Ⅰ、2焦点眼内レンズ(遠近) 約20万+手術代
Ⅱ、3焦点眼内レンズ(遠中近)約30万+手術代
乱視矯正レンズを使用した場合はさらに2万円程度上乗せされます。

③ 手術までの流れについて

白内障手術について

①麻酔
点眼麻酔(目薬の麻酔)を使って麻酔致します。ほとんど痛みを感じることはなくなりますが、さわられている感覚は残ります。また、水圧がかかった場合などにも圧迫感を感じることがあります。眼の動きを抑えられない場合などは注射の麻酔(球後麻酔)を使うこともあります。

②手術内容
1、切開 器具を出し入れするトンネル(創)を作ります。(2か所)
2、濁った水晶体を超音波で砕き、吸い取ります。(超音波乳化吸引)
3、眼内レンズを挿入します。
4、洗浄し、トンネルを閉鎖し、終了となります。

白内障手術について

③手術時間
手術時間は約10~15
分となります。眼の状態により個人差があり、早い場合もありますし、時間がかかる場合もあります。

手術までの流れ

手術を決定後は、術前検査(眼軸長・角膜形状解析・内皮検査)及び感染症の有無や全身状態把握のための採血検査を受けていただきます。
その後、手術と生活上の注意点に関する説明後に同意書に署名していただきます。

同意書と処方箋をお持ち帰りいただき、薬局にて点眼薬を受け取ります。
手術3日前よりレボフロキサシンを点眼してください。普段点眼している薬も前日夜まで使用可能です。
手術当日は、手術予定時刻の1時間前から点眼を行います。

手術当日~帰宅まで

来院されたら、点眼追加し、血圧測定、問診などをおこない、手術前室に移動します。準備ができ次第、手術室の中にご案内いたします。

手術室に入りますと、血圧測定、酸素モニターの装着を行い、皮膚の消毒、洗眼をおこないます。ドレープ(術眼だけ穴の開いた布)をかけ、点眼麻酔が効いていることを確認し、手術を開始します。
顕微鏡の光がまぶしく感じますが、指示に従って真ん中をみるようにしてください。術中に痛みや咳、くしゃみが出そう、何か伝えたいことがある場合は、体や顔を動かさずに声で教えてください。
手術が終了するとドレープを外して眼軟こうを注入し、眼帯をあてます。
血圧測定などで問題がなければ会計し、帰宅となります。その際に、翌日の診察時間のご案内をいたします。帰宅し、痛みや違和感のある場合は鎮痛剤を服用してください。

④ 術前検査について

白内障手術に必要な検査を行います。この結果に基づき、白内障手術が可能かどうか、そして患者様と相談し眼内レンズを決めていくことになります。

必要な検査項目(初診時と術前検査時に分けて検査を行います。)
矯正視力検査、眼圧、屈折検査、眼底検査、眼位検査
眼底三次元画像解析検査(網膜の異常がないか調べます)
角膜内皮細胞密度検査(角膜の透明度を保つ細胞の数を調べます)
光学式眼軸長検査(眼内レンズの度数を決定する検査)
採血検査(感染症の有無、その他、全身の異常の有無を調べます)

⑤ 当院で取り扱っている眼内レンズ

単焦点眼内レンズ

(特徴)単焦点眼内レンズはピントは一つの焦点となります。多焦点と異なり、光を遠用と近用に分散しないため、コントラスト(くっきり度合い)の高いレンズとなります。
レンズ代が手術代に含まれますので追加費用負担が発生しない利点があります。
狙ったピント以外のところに関しては見えづらい場合がありますので、その距離に関しては眼鏡処方が必要となります。乱視矯正眼内レンズもございます。
当院で扱っている主な眼内レンズ
XY-1(HOYA)、NX-70(参天)、KS-SP(Star)、ZCV(J&J)

乱視矯正レンズ

(特徴)角膜の傾きが縦軸と横軸で異なるためにぶれて見えるのが乱視です。
乱視矯正レンズは角膜によって作られる乱視を打ち消すレンズを眼内に挿入することによって乱視を減少させます。乱視には正乱視と不正乱視というものに分かれますが、このレンズは正乱視を矯正するレンズであり、不正乱視は矯正できません。
どちらの乱視があるかは術前検査により把握します。
当院で扱っている主な乱視矯正眼内レンズ
ZCW(J&J)、XY1AT(HOYA)

低分節加入型眼内レンズ

レンティスコンフォートLENTIS comfort(参天)

レンティスコンフォートLENTIS comfort(参天)
保険診療で使用できる単焦点レンズと同じものになりますが、+1.5Dの加入度数が入っているため、遠方から中間距離(70cm)程度までピントがあうレンズとなります。
利点 単焦点レンズであると遠方にピントをあわせた場合、中間距離から手元をみる場合は眼鏡装用が必要となりますが、レンティスを用いると焦点の幅が広がり、70cmくらいまでは眼鏡を使用しなくてもよいことが多いです。また、多焦点眼内レンズでの不利な点であるコントスト感度(くっきり度)の低下やハロー、グレア(光がにじむ)といった副作用も少ないです。また、ピントをやや手前に合わせると中間距離から手前の距離までピントを合わせることもできます。

レンティスコンフォートトーリックLENTIS comfort toric(乱視軽減)(参天)

レンティスコンフォートトーリックLENTIS comfort toric(乱視軽減)(参天)
上のレンティスコンフォートのレンズに乱視矯正が加わったレンズとなります。乱視のある程度ある方には軽減のため使用いたします。乱視矯正度数に限度があるため、高度乱視の方は軽減のみになる可能性があります。

二つのレンズに共通する不利な点

二つのレンズに共通する不利な点
設定されている度数の幅があるため、強度近視や強度の遠視、乱視がある場合などは、レンズが選択できない場合があります。

多焦点眼内レンズ

(当院で扱っている多焦点眼内レンズ)
PanOptics(Alcon社)3焦点レンズ
PanOptics toric(Alcon社)3焦点レンズ+乱視矯正レンズ
シンフォニーオプティブルー
シンフォニーオプティブルートーリック

多焦点眼内レンズ パンオプティクス Pan Optics テクニスシンフォニーTECNIS Sympony
レンズ名 パンオプティクス Pan Optics テクニスシンフォニーTECNIS Sympony
特徴 日本で初承認された3焦点眼内レンズです。遠中近(6m以上、60cm、40cm)に焦点が合います。 初めての焦点深度拡張型多焦点眼内レンズ。焦点深度を拡張し、遠方から近方まで広い明視域で自然な見え方です。
レンズ会社 Alcon(米国) AMO(米国)
乱視矯正 可能 可能
費用 乱視矯正30万
乱視矯正なし27万
乱視矯正24万
乱視矯正なし20万
グレア・ハロー やや少ない あり
⑥ 術後合併症について

合併症とは手術後に一定の割合で発生するものです。
主なものを以下にあげます。

術後合併症とは、一定の確率で手術中および手術後起こりうるものです。

① 術後眼内炎(0.1%以下)
眼内の細菌感染で術後1週間以内に起こることが多いです。急激な視力低下、充血、目の痛みが主な症状となります。早期発見早期対処が必要ですので、症状がある場合はいつでもご連絡下さい。対処法としては眼内注射、レンズ抜去、硝子体手術となります。

②術後高眼圧症
手術の炎症により一過性に眼圧があがることがあります。ほとんどの場合一時的なので、経過を見ることが多いですが、眼圧下降の薬を使うことがあります。

③角膜障害
目の表面に傷がつく場合があります。術後の状態によっては点眼薬を使用します。

④後発白内障
術後数か月以上たってから出現することがあります。レンズを入れている嚢が濁って再度白内障になったような見え方と視力低下があります。外来のレーザー治療にて回復します。

⑤眼内レンズの度数ずれ(数%)
ピントが合わないことがあります。眼鏡で調整することとなります。

⑥黄斑浮腫(1%)
術後炎症が原因ともいわれます。頻度はわずかです。ステロイドの注射治療などを行います。

⑦後嚢破損、核落下(1%未満)
水晶体の嚢(皮の部分)はサランラップのように薄いので穴があいていたりあくことがあります。

⑧チン小体断裂(1%未満)
水晶体を支えるじん帯をチン小体とよびます。高齢やケガなどによりその部分が弱くなって切れていたりすることがあります。その場合レンズが入らず、レンズを縫い付けていれる手術を必要とすることがあります。

⑦ よくあるご質問
白内障の治療は点眼ではだめですか?
白内障の初期であり、視力低下をきたしていない状態であれば点眼治療をおこなうことも可能です。しかし、白内障の濁りを消す効果はありません。進行し、視力低下や白内障の随伴症状であるまぶしさ(羞明)、二重三重にみえる症状がある場合には白内障手術が唯一の治療方法となります。
白内障の手術はいつ行えばよいですか?
ご自身に白内障があり、かすんだり、見えづらかったりなど気になる場面が生活や仕事、趣味の場面ででてくる場合が手術を行うよい時期と考えております。
ただ、我慢して進行してきてしまうと、白内障手術自体の難易度が上がり、手術合併症の発生の可能性が上がったり、手術時間が増えてしまうことがありますので、そこまで進行しないうちに行うことが安全です。
白内障手術は何度も行うのですか?
ご自身の水晶体の中の部分を超音波で砕き、吸引し、眼内レンズを挿入するため、濁った水晶体はなくなります。そのため、白内障手術自体は一度きりとなります。
ただし、後発白内障という状態になると、眼内レンズをおおっているご自身の後囊とよばれる分が濁って白内障に再度なったかのようになります。
その場合はレーザー治療が必要となります。
また、時間を経て、眼内レンズが傾いたり、落下してしまうこともあり、この場合は再手術が必要になります。
眼内レンズはのちに交換したりする必要がありますか?
一度使用した眼内レンズは交換する必要はありません。耐久性も問題なく、生涯にわたり使用することができます。ただし、術後屈折がずれてしまい、見え方が大分異なっている場合、度数を変えるため交換することがあります。(可能性は低いです。)
白内障手術後、メガネはいらなくなりますか?
白内障手術によって、単焦点眼内レンズを使用した場合は設定したピントと違う距離についてはメガネが必要となるため、不要になることはありません。
低加入文節型眼内レンズ(LENTIS)や多焦点眼内レンズを使用した場合は、焦点距離が広いため、複数のピントに焦点があるため、メガネの使用頻度が減少し、不要になる場合もございます。
白内障手術までの流れを教えてください。
まず、診断が大事になりますので、診察を受けていただきます。白内障にともなう視力低下の診断となった場合、手術を希望されれば、術前検査、診察の日にちと手術日を決定いたします。感染症の検査、術前検査・診察を受けていただいたあとは白内障手術となります。
白内障手術の合併症はありますか?
近年の手術技術の進歩により比較的安全な手術となっております。 しかし、手術合併症はわずかながらもあります。
合併症としては目の感染症(眼内炎)、チン小帯断裂(水晶体を支える靱帯が切れてしまう)、後嚢破損(水晶体の袋に穴があいてしまう)などがあります。
合併症ゼロを目指して万全を期しております。
送迎はやっていますか?
当院では手術当日、術後の帰宅まで当院の車にてご自宅までお送りするサービスをおこなっております。無料になります。遠方の場合は、駅などにお送りいたします。(詳細な範囲についてはご相談ください)お迎えサービスはおこなっていませんので、ご了承ください。
術後の安静はどのくらいですか?
術後自宅においては歩いたりする分にはかまいません。運動などをしてしまうと眼内レンズがずれる可能性、また感染症の危険性が増しますのでやめましょう。当院では翌日より首から下の入浴可、術後2回目の診察で問題なければ洗髪、洗顔可としております。
仕事はデスクワークであれば3日目より、その他は1週間程度が目安ですが、診察において状態を確認してからとなります。
入院で手術は可能ですか?
当院でおこなう手術はすべて「日帰り」手術となります。
近年では白内障手術は90%以上が日帰り手術となっております。入院での白内障手術をご希望される場合は連携医療機関にご紹介させていただきます。
多焦点眼内レンズと単焦点眼内レンズはどちらがよいですか?
どちらにも利点と不利な点がございます。術前検査・診察の際に相談して決めていきましょう。
乱視矯正レンズは希望すれば使用できますか?
はい、使用可能です。当院ではすこしでも術後患者様の見え方を改善するため、乱視矯正眼内レンズを使用可能である場合はすべての方に使用する方針をとっておりますので、ご安心ください。
クレジットカードは使えますか?
当院では現金のみの対応となっておりますので、ご了承ください。
保険は使用できますか?
民間の医療保険にお入りの方は、契約内容によって適応できる場合とできない場合がございますので、保険会社におたずねください。その際の術式は「水晶体再建術」となります。
高額療養費制度は使えますか?
利用することが可能です。世帯所得によりますが、月の上限が決まっており、申請することによって可能です。お使いの健康保険組合、国民健康保険にお問い合わせください。
⑧ 執刀医について

当院での白内障手術における執刀、説明、術後診察についてはすべて眼科専門医である院長の稲崎がおこなっております。
安全な手術を第一に考え、白内障手術をおこなっております。当院の白内障手術の特徴といたしましては、5つの点をあげております。

①患者様に安心して手術を受けていただく説明、一貫した院長による執刀、術後経過観察
②白内障手術までお待たせしない手術日設定
③手術室での充実したスタッフ体制(医師2名、看護師2~3名、視能訓練士2名)
④術後、社用車での送りサービスの実施(無料)
⑤可能な限りプレミアムレンズの使用(乱視矯正レンズ、低文節加入型眼内レンズ)

術前と比べ手術して本当によかったと思っていただけるような白内障手術を目指してスタッフ一同取り組んで参ります。

執刀医について1
執刀医について2
  • 日本眼科学会認定眼科専門医・医学博士
  • 身体障害者15条指定医、難病指定医
  • 日本眼科学会、日本緑内障学会、日本網膜硝子体学会会員
  • 東京医科大学卒業 横浜市立大学大学院医学研究科修了
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